言葉ではその理由をうまく説明出来ないが、非常に心ひかれるものがある。
朽ちていく物朽ちた物も、そのひとつ。
写真集「OBSESSION」与田弘志(1994)、序文は武満徹。
十数年前に、書店で見かけてまさにobsession(取り憑く)された。
そこに写っているのは、朽ちた金属やプラスティックやゴム等と朽ちていく果物や野菜。
それらの物がほぼ単体で、写されている。
金属やプラスティックやゴム等は、ある程度長い時間をかけて朽ちていったことを感じさせる。
そこに至るまでに、費やされ失われた「時間」を見る。
それほど長い時間をかけずにそこに至ったであろう、鮮やかな色を部分的に残しながら、黒ずみうっすらとまたはびっしりとカビに覆われた果物や野菜。
そこには、長くはないがその先にまだ残された「時間」を見ているのかもしれない。