一冊の本を売る書店「森岡書店」。
そのまま本の題名になるのでは、と思わせる魅力的な謳い文句を付けられた、昭和初期に建てられた銀座のビルの一角にある小さな書店。
今回は、「Childhood こどもの時間」展
その一冊の本、「Childhood こどもの時間」Emily R Grosholz 早川敦子・訳(クルミド出版)は、哲学者で詩人のエミリ・R・グロッショルツの詩集。
初めての雨につつまれる幼子の「雨をみつける」に始まる18編の詩を読み進めると、こども達への愛に直結する平和への強い意思を感じることができる。
いわさきちひろのあまり知られていない絵と、5編の詩には音楽家(村治佳織と谷川公子)が書き下ろした曲の手書きの譜面も添えられている。
日本語の訳詩と英語の原詩がページの見開きに配され、しっかり主張する帯と本体の紙質も相まって、視覚触覚に響く。
そのブックデザインをされた、太田真紀さんとコーヒーのいい香りのする書店内での会話。
この詩集の中の一編「はじめてのピアノレッスン」の曲も手回しオルゴールで聴かせてくださったり、普通の書店で本をレジに持っていく(それもかけがえのない時間ではあるが)だけでは味わえない、楽しい時間を過ごす。
「今回の本づくりは、Emily R Grosholzをよく知る元広島市長秋葉忠利より、早川敦子に相談が持ちかけられたことで始まった。2015年が戦後70年にあたる節目の年であることから、年内の発刊にこだわった。」この詩集の奥付に続く発行人影山知明の言葉はこの文で始まる。